歴史という幻影と、伝説になる手段と - 434 グラハム・ベル空白の12日間の謎―今明かされる電話誕生の秘話:あなたの人生が勇気に満ち溢れる555冊の多読成功術
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2010年11月03日


といえば今や誰しもケータイとして持っている


電話を発明した人と言えば
グラハム・ベルというのはご存知だろうが

今回の本
グラハム・ベル空白の12日間の謎―今明かされる電話誕生の秘話 ,セス・シュルマン、吉田三知世,4822284395


グラハム・ベル空白の12日間の謎―今明かされる電話誕生の秘話

セス・シュルマン、吉田三知世

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AMNのキャンペーンに応募したら
当選したのがきっかけで読んでみました。

電話を発明したのは
”歴史上”ではグラハム・ベルということに
なっているが

果たしてその歴史は本当に
真実を語っているのだろうか・・・




【目次】
おもな登場人物
1 伝言ゲーム
2 突然の飛躍
3 やっかいな問題
4 ベルの生い立ち
5 五里霧中
6 策士の加担
7 評判の良い剽窃者
8 密かな思い
9 抵触
10 先立つ発明者たち
11 電話を盗む
12 よからぬつながり
13 一本の糸でつながった名声
14 延期された発表
15 チームプレー
16 討論への招待
謝辞
訳者あとがき
図のクレジット
原注


【書感】


それを取ることで人生すら変えてしまうし、歴史を変えてしまうことだってある。

本書では電話の特許を巡って
本当にグラハム・ベル
その人が電話を発明したのか?

という疑問を元に
様々な文献を頼りに著者が真実を探求するという
流れで進んでいく。

今回はそんな著者が発見した歴史の断片
また、何がベルという人物を伝説、神話にしたか
という視点で紐解いて行こうと思う。

◆真実は疑わしく

アレクサンダー・グラハム・ベルという人がどんな人だったか
というのはリンクのとおりまずはwikipediaあたりで調べて頂きたい。

実際にベルという人物がどんあ人だったかというと
義理の息子の証言が印象深い
ベル氏は背が高く、目鼻立ちも整い、言いようのない寛大さをにじみ出しており、
また、強い精神力と温厚さのオーラを発していたので、その目でじっと見つめられたなら、どんな狭量な了見も消えうせてしまうようでした。
彼に会うといつも、宇宙は興味深いことに満ち溢れており、観察したり考えたりすれば実に面白いことがこんなにたくさんあるのだから、ゴシップにうつつをぬかしたり、
くだらない議論にかまけているのは、犯罪的な時間の浪費だという気持ちになりました。
そんな好印象を残しているベル

電話の発明に命を捧げ、その結果特許を勝ち得た
といえば、本書を読み進めると、どうやら半分正解で
半分はなんとも変な真相が導きだされるようだ。

ベルの特許を巡ってはイライシャ・グレイという人物が登場する
ベルの特許書とグレイの仮特許書が提出された日は
1876年2月14日

特許の2時間遅れでグレイという人は
電話の発明者になれなかった。
というのは、必ずしも真実では無いようで

当時の特許庁の記録というものは
時間では管理していなく、日付で管理している。
通常、出願日はそれ以上細かく時間までは考慮されず、
したがって一日が時間の流れのなかの一つの同じ点と見なされる。


まぁ特許庁の役人さん方が
私がグレイの特許書をベルに見せました
なんて発言も残っているし(ちなみに、この発言をしている方は重度のアル中だったり・・・)

ベルの特許書が後々改編されていたり
という事実を著者が発見していく様、

特に尊敬の目で見ていたベルを
疑惑の目で見るようになっていく様は
なかなか読んでいて面白いものがある。

画像で説明すると
これが1876年2月14日に提出されたグレイの特許権保護願いに記載されていた図


そして1876年3月9日付けで記録されているベルのノート

おやおやおや・・・

また、ベルの特許の原本には
左側の余白にその後追記された部分も書いてある

と、ベルのパクり疑惑を
パクリじゃないと認めることが
できない事実も多々残っているわけである・・・。

◆何がベルを伝説にしたか

本書を読んでいくとわかるが
ベルの発明はグレイの研究を知らないと
完成し得ないものである
ということがわかる。

しかし、
グレイさん、電話を発明したのはあなたで、もしもあなたののろまな弁護士たちがちゃんと仕事をやっていたなら、
特許はあなたのものになっていたはずですよ。だが、あのころわたしはあなたのことはよく知らなかったし、あなたも、わたしにタバコをくれたこともなければ、
飲みに誘ってくれたこともなかったですしね。
この一文にもあるように
確かにグレイは技術者としては優秀だったのだろう。
特許についてはすべて後手、後手になってしまっている。

フィラデルフィア100年祭万博にて
ベルとグレイが直接大衆の前でそれぞれの発明品を
アピールする場があった。

ベルは聴覚障害者の教師として働いていた評判が相当だったため
主催のブラジル皇帝に事前に挨拶できたりと
上流社会、学者社会にたくさんの人脈を持っていた

また、当日の実演発表ではベルは持ち前のスピーチ力
また、観衆を巻き込むこと
そして、グレイにさえも
ベルの発明が面白いということを
認めさせているのは事実である。

また、グレイも多重送信電信のほうがメインと考えており
電話は「科学的な玩具」に過ぎないという評価をしてしまったのも
選択の過ちであったのだろう。
(こういう例は結構あるような気がする)

グレイ、彼の名はベルの足元にも及ばないくらい
歴史に埋もれてしまったが
彼は彼なりにその後の発明をしているわけ

そして、その後電話の真相が明らかになると
グレイは訴訟を起こしたりしている。

電話については散々な結界になってしまっているが
グレイは自分がいかに不当な仕打ちを受けたかに遺憾を抱いたまま
亡くなったそうだ。

ただ、技術が素晴らしくても
それを補う他の能力、「人を巻き込むもの」がなければビジネス
には向かないということを悲しいけれどグレイから学べてしまうのである。

◆それでも、真実は

ベルの行ってきたことは限りなく
グレーゾーンギリギリもしくはブラックであると考えられる。

ただ、しかし、その真相は
もはや130年という歴史の中に埋もれてしまってもいるし
グレイが電話の特許を取得したところで

ベルのような戦術を立てられたわけでなく
現在のような電話の発展はなかったかもしれない。

残念ながら歴史が真実であれば
そこにifはない

しかし歴史というものは
奥が深く、不確定要素の塊だというのも覚えておかなければいけない。

それは著者が本書で述べているとおり
歴史は錯綜しており、より深く掘り下げても、必ずしも事態がより明らかになるわけではない。
過去に起こった出来事の細かな点をいくつも突き止めることはできる。しかし、そこからどのような教訓を引き出すかはわれわれ次第だ。


今現存する歴史が必ずしも正しいことではない。
「伝言ゲーム」のような状態に陥ってしまっている歴史を
疑いもせずに鵜呑みにすることは危険であることを本書は教えてくれる。

歴史というものに、常に挑み、問いただすという著者の考えは
アタマの片隅にきちんと置いておいたほうがいい。

あなたが知っている歴史は
人の記憶が曖昧なように
湾曲された誤った歴史であるかもしれないから。


グラハム・ベル空白の12日間の謎―今明かされる電話誕生の秘話 ,セス・シュルマン、吉田三知世,4822284395

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【後記】

歴史を読み解く本は依然紹介した
利休 茶室の謎に似ている部分がある

こうして歴史というものを考えて
真実を暴くというのは何も考えず、
鵜呑みに物事をつい信じてしまう私たちにとって
考え方を変えてくれる良書なのだと思う。

ただ、今回の本は専門的なため
やはり用語、どういったものなのか
と理解する必要があるため
少し難しく感じた。

まぁこう難しい
どうなっているんだ?
を与えてくれる本は
自分自身にも良い薬になってくれていい。


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Posted by hiro at 23:45│Comments(0)  
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