眠りを制すものが人生を制す?知っておいて損のない睡眠のこと - 448 睡眠の科学:あなたの人生が勇気に満ち溢れる555冊の多読成功術
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2010年12月03日

眠という行為を
嫌いな方はいないと思いますが
睡眠の時間をもっと仕事やプライベートに有効に使いたいな〜
と思われている方はいるのではないでしょうか。

今回の本は
睡眠の科学 (ブルーバックス) ,櫻井 武,4062577054


睡眠の科学 (ブルーバックス)

櫻井 武

[詳細はAmazonで⇒]


人間の寿命が75年なら、その一生の1/3を睡眠に使う
つまり25年も睡眠していることになるわけです。

その睡眠との接し方について今回は触れていきたいと思います。




【目次】
第1章 なぜ眠るのか?
第2章 最新技術で探る「睡眠の正体」
第3章 睡眠と覚醒を切り替える脳のしくみ
第4章 睡眠障害の研究から生まれた大発見
第5章 オレキシンが明かした「覚醒」の意味
第6章 ヒトはどこまで睡眠をあやつれるか
第7章 睡眠に関する日常の疑問と、これからのテーマ
終章 なぜ眠るのか―私の仮設


【書感】

眠という行為は
生きていく上で欠かせない行為である。

著者は覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」を発見した医学博士の櫻井氏

そもそも、眠らないとどうなるか、「オレキシン」がどう影響をおよぼすか
眠らないことはできるのか、睡眠とどう付き合えばいいのか
といった8つの視点で紐解いていこうと思う。

◆眠らないとどうなる?

1964年、当時17歳だったランディ・ガードナーという高校生が264時間(11日間)眠らないという
「不眠記録への挑戦」という自由研究をしたそうだ。
1964年12月28日の午前6時に目覚め
一睡もしないで11日間起き続けた。

断眠後2日目になると怒りっぽくなり体調不良を訴え、
記憶に障害がみられるようになり、
集中力がなくなりテレビを見るのも困難になった。
4日目には妄想をきたすようになり、
7日目には震え、言語障害などが認められた。

11日間の断眠後、連続して15時間眠り、
その後23時間覚醒し、10時間半眠ったそうだ。
1週間後には生活リズムを取り戻し、
後遺症もきたすことはなかったそうだ。

これはランディが例外だったからかもしれないので真似することではないが専門家はラットなどの動物実験の結果をもとに、精神の異常をきたすか、あるいは重篤な身体症状がでると見解を示している。

つまり、眠るということは機能を維持するために必要不可欠なわけである。

◆眠りの種類を知る

眠ると一言で言うのはちょっと
言葉足らずで、「記憶力を強くする」でも述べたが
ノンレム睡眠(non-REM)、レム睡眠(REM)がある。
周期については下の画像を見て欲しいが


まず、眠るとノンレム睡眠にすぐになる。
この時にニューロンの活動が低下し、同期して発火するようになる。
いわば「スリープモード」。
逆にレム睡眠は簡単に言うと脳へのインプット、脳からのアウトプットが無い「オフライン」状態にあたる。

オフライン状態なので脳はスリープするわけでなく、動作をしている。
この際に夢というものが生じる。
夢は未来を予見するもの、何かの暗示などと考えられがちだが神経科学者の著者の見解は
夢とは「レム睡眠中に脳が活動するために起こる一種の幻覚」であり、さらに極端には「レム睡眠中は脳機能のメンテナンスのために脳が活動する必要があり、そのときに生じるノイズこそが夢である」ととらえられている。
というわけだ。
ノンレム睡眠時に脳のメンテが行われ、記憶の断片が回収され、起きたら昨日はできなかったことが
できるようになっているということがおこるわけである。
(夢の心理学との結びつきはあるのかもしれないが、今回はそのことは考慮しない。)

◆神経ペプチド「オレキシン」

「ペプチド」と聞くと健康食品などで名前を聞いたことがある方はいるかもしれないが、
アミノ酸がいくつかつながったものがペプチドである。そのうち細胞間の情報伝達を担う物質を「生理活性ペプチド」といい更に
神経伝達物質として働く生理活性ペプチドを「神経ペプチド」と呼ぶそうだ。
私たちは企業との共同研究を行い、企業が集めたデータベースから見つかった受容体の遺伝子情報をもとに、さまざまな受容体に対応する神経ペプチドをラットの脳内から探索していった。それまでは、生理活性ペプチドを見いだすには血管の収縮など、なんらかの生理的反応を指標にしていた。それに対応する受容体は、そのあとに見いだされてきた。しかし、私たちは、たくさんの遺伝子情報の中から未知の受容体の遺伝子を先に探し出し、これに対応するペプチドを見つけるという方法を開発した。これは当時においてはまったく新しい方法であった。
 こうした作業によって最初に精製することができたのが、のちに私たちが「オレキシン」と名づけた神経ペプチドであった。
オレキシンというのは視床下部の接触中枢に局在することを見出して、オレキシンを投与すると摂食量が顕著に増える
ギリシャ語の「食欲」を意味する「オレキシス」(orexis)からとったそうだ。

オレキシンの欠損したマウスを更に研究していく中で、確かに摂食は減った
しかし、これは「ナルコレプシー」という超簡単に説明すると、突然気絶したように寝てしまう病気で(どんなに緊張するような環境でもふっと気絶したように眠ってしまうそうだ。)オレキシンの不足がナルコレプシーを起こすということが別なチームの研究とクロスし見つかったのである。

オレキシンは覚醒と睡眠のシーソーの漕ぎ手で、このシーソーは通常は睡眠に重きがあるのだが
覚醒が必要な時オレキシンが覚醒側を後押しして覚醒に持っていくという役目をしている
という役目をしていると覚えられればここでは十分だろう。



◆寝ないで済むことはありえるのだろうか

オレキシンが覚醒を引き起こすわけだが、
このオレキシンはを消化管で分解されてしまうため、経口投与できない
鼻内に投与というアイデアもあるそうだが、血液中に到達はできても脳内に移行するための
血液脳関門を通らなければ意味が無いそうだ。脳内に作用しなければ効果のないオレキシンを鼻内に噴霧しての作用機序はまったくわかっていないそうだ。

寝ないですむということに対しては著者は次のように断言されている。
睡眠は長い進化の歴史でも省くことのできなかった、きわめて重要な機能である。たとえオレキシンのようなもので無理矢理に覚醒状態を維持したとしても、やがて脳機能に障害が出るだろう。また、筆者らが検討したところ、オレキシンを持続的に発現させたマウスであっても、結局のところ、やがては眠るようになる。状態が変化して持続的に活性化したニューロンは、シナプスの変化によって、やがて元の状態に戻ってしまい、睡眠がおとずれることになるだろう。
と結局眠りというのは必然的なことなのだ。
ただ、睡眠をコントロールできないかというとそんなこともないようである。

◆眠りを操作する

よい睡眠をとるために快適で眠りやすい環境を整えるという解はありきたり本書ではあまり知られていないポイントを教えると書かれている。

まず、「食事」に注意をはらう
空腹になると、オレキシン作動性ニューロンの活動が高まり眠りにくくなる
かといって寝る前に食べる習慣がついてしまうと覚醒レベルがあがって眠れなくなる。
食事は適切な量を、就寝の4〜5時間前くらいに摂るようにすることが、よい眠りのためのコツだそうだ。

またGABAを含んだ食品は血液脳関門に阻まれほとんど脳内には入らない。
サプリメントだとグリシンというアミノ酸が睡眠の質を向上するデータが取れているそうである。
グリシンには脊髄の運動神経を抑制することによって筋の緊張を下げる働きがあるほか、視床下部に働いて体温を下げる作用がある。

眠る直前に手や足の血管を拡張させ、体温を外に拡散し、深部体温を下げるという行為が
行われている為、一時的に体温が上がるが、体温が高い状態だと入眠はしにくい。
眠る直前に熱いお風呂などは避けたほうがいい。

手足が冷え切っていると血管が収縮して深部体温の拡散が難しくなるそうだ。
なので、あまり体温を上げずに、暖かくして眠るということが大切みたいだ。

逆に、眠気を払いたい時は手足を冷やしたり、
カフェインをアイスではなくホットで飲むことが望ましいようである。

◆何時間眠ればいい?

正しい睡眠時間というのはレム睡眠、ノンレム睡眠の周期を知って、じゃあ6時間とか、7.5時間がいいのかと見極めることが必要になる。
エジソン、ナポレオンといった偉人達は眠るのが惜しく短時間睡眠者として知られているが
実際には昼寝などをしていたみたいでトータル6時間は寝ていそうだ、アインシュタインに関しては
10時間以上の睡眠を摂っていたという。

本書ではこの適切な睡眠時間の定義を次のようにしている。
「あなたが翌日、眠気を感じずに、すっきりと過ごせるだけ眠ればよい」えぇ〜っと、曖昧な答えかもしれないが、翌日に眠気を感じるということは睡眠時間が足りていない証拠だ(まぁこれが調整出来れば苦労しないけれどね…)
ただ、睡眠というのは融通が利くものなので、睡眠負債というものが増えて
次の睡眠は深く長くなり恒常性を持っているのである。

なので、一般的な睡眠時間を参考に日々記録をつけてあなたの体調による
睡眠時間というのを見つけたほうがいい
結局、人生の多くのウエイトを占めてしまうものですから。

◆動物の睡眠

人の睡眠とほぼ同じ行為が行われているのは
すべての哺乳類、鳥類に認められているそうだ。爬虫類やその他下等動物には休眠状態と呼ばれる
睡眠のような行為があるし、昆虫にも研究者から睡眠はあるとも言われている。
ただ、レム、ノンレム睡眠の区別が見られるのは哺乳類と一部の鳥類のみだそうだ。

睡眠時間は種によって異なり
ライオン、コウモリなどは平均して18時間から20時間
ウマやキリンの草食動物は3時間程度で立ったままだそうだ。
これは危険から身を守るということと、時間をかけて食事をする

また、ネズミは夜行性だけれども、昼間に数分から数十分の睡眠を何回もとったりしているそうだ。

本書で紹介されていて面白く感じたのは
イルカの睡眠
イルカは泳ぎながら眠る、ただし完全に眠ってしまっては溺死する。
なので右目を閉じて左の脳を睡眠させたり、左目を閉じて右の脳を睡眠させたりする



また、渡り鳥は飛びながら眠るそうだ。
飛行中に急降下、再上昇という動作を行うときがあって、この急降下の最中に睡眠をとるそうだ。

省けない睡眠だからこそそれぞれの生活に沿って
進化してきていることがわかる。

◆人間の年齢と睡眠の変化

人の睡眠の変化は
小さい子はよく眠り、老人は眠りが短いなんていうことが、定説的にあると思うが
これは真なることで、老人の睡眠が短くなってきているのは第4段階の睡眠がほとんどみられなくなる
なので脳の成長が少なくなって睡眠時間も自ずと短くなってきているということだ。

逆に小さい子の脳の発達には深いノンレム睡眠、長いレム睡眠が必要になるわけだ。
ということで、親の教育が悪く、睡眠を与えて育ってない子は
脳の発達が悪くなることはほぼ確定的なのでしっかり注意したいものである。

●最後に

結局のところ具体的には眠るということが
何をしているかという真相は分かっていないというのが答えである。

ただし、眠ることによって素晴らしい"何か”が行われているのは事実である。
なので眠りを犠牲にして頑張るということが必要な人も多いと思うが
時間の融通が利く人は戦略的に眠るという行為を大切にしていかなければ
いけないのではないかなと睡眠に対する考え方を改めないと
と自戒になった。

食事よりも、時間を使うことの多い睡眠
人生の1/3を上手に使うためにも
よく知って、大切に付き合っていきたいものである。

睡眠の科学 (ブルーバックス) ,櫻井 武,4062577054


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【後記】

睡眠、1日8時間計算だと75年生きた場合25年は眠ることになるわけですね・・・
こう考えると安易に考えられないわけです。

睡眠を計画的にとりにいくくらいしたほうが
楽しく人生を過ごす戦略なのは間違いないことでしょうね。
といいつう睡眠不足でエントリを書いていたりしますがね…

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Posted by hiro at 11:45│Comments(0)  
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