さまざまな点と点の物語 - 485 Steve Jobs:あなたの人生が勇気に満ち溢れる555冊の多読成功術
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2011年11月05日

Steve Jobsが亡くなり、早1ヶ月になろうとしている。
実のところSteve Jobsは新しいモノを産み出したり、
発明ということはしていないのではないだおろうか。

しかし、既存のモノの「点」を組み合わせ、シンプルに洗練し、
新たにクリエイトしてしまう偉人であったのは間違いないし
その発想が、PC、アニメーション、音楽、電話、タブレットPCと
多岐にわたる業界にインパクトを与え、より良い方向にベクトルを向けた
アーティストであるのも間違い無いだろう。

そんなSteve Jobsの伝記は読んでおかなければならないと思い
今回は取り上げる。
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スティーブ・ジョブズ I

ウォルター・アイザックソン、井口 耕二

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現状、Mac、iPod、iPhone、iPadと今現在において、
我が家のデジタル機器はAppleに毒されている(良い意味で)ザマでもあるし。

この伝記。日本では後述したいと思うが、
上下巻というfuckingな発売方法が取られているわけだが(それでも100万部いったそうですが)
まぁ、今回はその上巻をピックアップしていきたい。


【目次】
本書が生まれた経緯
ジョブズの世界
第1章  子供時代
第2章  おかしなふたり
第3章  ドロップアウト
第4章  アタリとインド
第5章  アップルI
第6章  アップルII
第7章  クリスアンとリサ
第8章  ゼロックスとリサ
第9章  株式公開
第10章 マック誕生
第11章 現実歪曲フィールド
第12章 デザイン
第13章 マックの開発力
第14章 スカリー登場
第15章 発売
第16章 ゲイツとジョブズ
第17章 イカロス
第18章 ネクスト
第19章 ピクサー
第20章 レギュラー・ガイ
第21章 『トイ・ストーリー』


【書感】

Steve Jobsが直接関わったというわけではないが、本書の原書は著者がJobsの依頼で本格的に行ったインタビュー、電話、延々と散歩しながら、車中でなど、18ヶ月の取材、約40回にも及ぶインタビュー、合計100人を超えるJobsの友人、親族、ライバル、敵、仲間などから話を聞いた情報を元に、伝記にするという形で産まれている。

中には23歳で当時のガールフレンドを妊娠させ、どう対処したか、今では禁止されているLSDを使ってみた世界など、人様に誇れないこともたくさんしてきたと赤裸々に綴られていたり「今日が人生最後の日」いつ終わるかわからない。という考え方、癌という病との闘い。常に「死」と隣り合わせであったことなど、Jobsという人間のあれもこれもが読めてしまう。「死」や癌のお話は下巻の感想として書くとして、今回は、日本語版への文句を一点と、Jobsの子供時代から、Appleを創設、Appleを追い出され、NeXT創設、Pixarでトイ・ストーリーが生まれるまでが綴られた(とこれだけ書いても怒涛の歴史なのだが、)上巻の中で興味深かったところを取り上げていこうと思う。

講談社ェ〜

まずは言わなきゃと思う。言わせて欲しい。
これは講談社に限らず、日本の出版業界が悪いのかもしれないけれど
まず本の価格が高すぎる。上下巻で約4,000円という価格には呆れる
(原書はKindleで約1,000円で手に入ってしまうというのに!!)

翻訳を一人で行った井口氏の仕事は確かに素晴らしいかもしれないが、
読み手にとってそれは必要でない情報である


それに原書はSteve Jobsを全面に押し文字、色も最低限に絞られているのに対して、講談社はまぁ普通の本同様に、帯に購買意欲をそそる(?)どうでもいい売り文句を書いたりしているわけだったり、Jobsに関する写真が多く収録されているにも関わらず、上巻で家族の話が出るにもかかわらず下巻にそれを持ってきていたりと何かナンセンスなことばかりやっているような気がしてしょうがない。

その他、色々と思うところはあるので
Jobs風の言葉を使って表すと

fucking!

なのである。

と文句があるのなら、幸いなことに原書をkindle版などで手にとるという道もあるのでそちらを読んでしまえば済むのだがね。
(こんなにfuckが検索できるkindle本はなかなか無いかもしれない…。)


(↑そんなに難しい表現は無いので、英語力がスカスカでも翻訳版と合わせて読むと結構楽しめます。登場人物紹介等役にたつし。)

しかし、翻訳を手がけているのが、過去にStephen Wozniak本などを手がけている井口氏だから上下合わせると900ページくらいの大ボリュームにも関わらず、Steve Jobsの物語、伝記として非常にサクサク読めてしまうわけで悪い本ではないのは悔しいが認めざる負えない。

それでもやっぱり、読み手を考えて作らないといい本だとは言えないのじゃないかな…。

■インド、禅、精神、若かりしJobsを創ったもの

さて、どうでもいい腹いせは終わりにして、本書の内容の中で、Steve Jobsを形成した大きな1つとして、インドへの旅、禅、の体験があげられる。もちろん、WozniakとのいたずらやApple立ち上げの部分も面白いのだが、そこはWozniak本を紹介する時に書きたいと思う。

次のJobsの言葉はインドを通じての直感、智慧へのいざない、遠くを求めるよりも近くに大切なものがある。

という視点でなかなか面白いので引用しておく。
僕にとっては、インドへ行ったときより米国に戻ったときのほうが文化的ショックが大きかった。インドの田舎にいる人々は僕らのように知力で生きているのではなく、直感で生きている。
そして彼らの直感は、ダントツで世界一というほどに発達している。直感はとってもパワフルなんだ。僕は、知力よりもパワフルだと思う。この認識は、僕の仕事に大きな影響を与えてきた。
 西洋の合理的思考は人間が生まれながらに持っているものじゃない。習得するものであり、西洋文明の大きな成果でもある。インドの村では合理的思考を学ばないんだ。彼らは別のものを学ぶ。合理的思考と、ある意味、同じくらい重要な面を持ち、それほどでもない面を持つものだ。
それが直感の力、体験に基づく智慧の力だ。
 インドの田舎で7ヶ月過ごしたおかげで、僕は、西洋世界と合理的思考の親和性も、そして西洋世界のおかしなところも見えるようになった。じっと座って観察すると、自分の心に落ちつきがないことがよくわかる。静めようとするともっと落ちつかなくなるんだけれど、じっくり時間をかければ落ちつかせ、とらえにくいものの声が聞けるようになる。このとき、直感が花ひらく。物事がクリアに見え、現状が把握できるんだ。ゆったりした心で、いまこの瞬間が隅々まで知覚できるようになる。いままで見えなかったものがたくさん見えるようになる。これが修養であり、そのためには修行が必要だ。
 あのときから、僕は禅に大きな影響を受けるようになった。日本の永平寺に行こうと考えたこともあるけれど、こちらにとどまれと導師に言われてやめた。ここにないものは向こうにもないからって。彼は正しかった。師を求めて世界を旅する意志があるならすぐ隣に見つけるだろうと禅では言うんだけれど、それは正しいんだなと実感したよ。

このインドで東洋文化に触れた経験、智慧はJobsの「交差点」という考え方につながっていくのだなと感じる。

どちらか極端ではなく、角度を変えれば良い面も見えてくるし、悪い面も見えてくる。そういう多角的な視点を鋭利に磨くことによって発想するということはとても大切なことでコンピューターの世界に取り入れずらかったユーザビリティやアーティスティックな部分というのは西洋を知り、東洋を知りという智慧を持ったJobsならではだったのではないだろうか。



↑禅の精神に基づき、モノが殆ど無いJobsの部屋

まぁ、日本人で禅を取り入れたい、「悟り」を開きたいという方はせっかく日本に住んでいるのであるし永平寺で修行をしてみるのも「悟り」が開けるいい機会になるのかもしれない。
(興味本位では挫折するそうなのですが、機会があったら行ってみたい…かな??)

禅の修行に励んだりしていたわけで、その中で、経営者として後に役立つ「信じる気持ちを預ける」というやり方を覚え、相手が無理だと思っていたことでもやらせることができるという考え方を持つようになり、後のThe Reality Distortion Field(現実歪曲フィールド)につながっていく。

■The Reality Distortion Field

大なり少なり、現実をねじ曲げる人はもちろんたくさんいるわけだが、Jobsはそれを戦法として用いる。Jobsは「それは無理だ。不可能だ」という抗議さえも無効化してしまう彼の周囲では現実が柔軟性を持ち、誰が相手でも、どんなことでも、彼は納得させてしまうThe Reality Distortion Field(現実歪曲フィールド)という表現が多々されるし、関わった多くの人はそこから逃れようとするのだが結局術中にはまってしまう、というJobsの大きなスキルの一つである。

The Reality Distortion Fieldの主な特徴を3つほどあげると
・カリスマ的な物言い
・不屈の意志
・目的のためならどのような事実もねじ曲げる熱意


周囲はもちろん、自分さえもThe Reality Distortion Fieldに巻き込んでしまい、どんな論理が破綻した一見馬鹿げた発想でも、JobsがGoと言えば巻き込まれた人物は断れずやるしかない状況に追い込まれ不可能という発想を忘れ、実現してしまうというチートのような力である。
「自己実現型の歪曲で、不可能だと認識しないから、不可能を可能にしてしまうのです」と周囲にも言わしめてしまうほど。

また、実現のために厳しい言葉を部下にかけるのは有名だが、中にはJobsに立ち向かう者も現れ、1981年には「よく立ち向かったで賞」なんてもの半分冗談、半分本気で出されたそうだ。
あるエンジニアは「「くだらない」という物言いを「これがベストなのはなぜか説明してみろ」という質問として聞くようになった」と語り、そこから更に良いやり方を思いつくことができたそうだ。

この根底には世間的なルールに自分は従う必要がないというという確固たる信念。
さらに、その源になっているのは自分は特別な人間、選ばれた人間、悟りを開いた人間と自分が養子として育った子供時代に生まれた頑固で強固な個性であり、なんでも「最高」「最低最悪」、「神」「くそったれ」と二分してしまう世界観が合わさっているからである。

しかし、そのカリスマな力もアーティストとして、シンプルさを求め、追求された練習により生まれたものプレゼンテーションはJobsの言わずと知れたスキルであるが、あのシンプルで緻密なものも何回にも及ぶ練習により作られたまさに努力の結晶であり、このThe Reality Distortion FieldもJobsの様々な鍛錬の賜物と才能が合わさり生まれたスキルだということを忘れてはいけないのである。

天才と言われている人はやっぱり言われるが所以の努力をしているわけである。

■A Regular Guy

A Regular Guy(凡夫)とは、Jobsが31歳の時に再会した
作家である実の妹Mona SimpsonがSteve Jobsとその娘Lisaを元に書いた小説のタイトルである。

この章を初め、上巻ではJobsの大嵐のような恋愛、家族関係についても書かれていることが特徴的で、自分が養子であったことに対するコンプレックスや様々な女性との関係。
今まで知られざるJobsのプライベートが色々と書かれている。
こういった話が好きな人は上巻にどっぷりはまれるのではないだろうか。

自身は養子だったため、実の親以上に特別な存在として育てあげてくれた自分にとっての両親であるPaul、Clara。
23歳の時に親になるのを放棄し、後に認知することになるLisaという娘。
と特別な家族模様。

詳細は書かないが、Jobsの女性との交際歴も綴られている。
いくつかの交際を経て、
頭はよいが控えめ。Jobsにたてつく気概を持つが、騒ぎを超越する禅的なところもある。教育程度が高くて人に頼らないが、Jobsや家庭と折り合いをつける意志を持つ。現実的なのに浮き世離れしたところもある。Jobsの手綱を取る力がある一方、自己が確立されていて常に手綱を取らなくても大丈夫。さらには、美人で細身のブロンド、ユーモアに寛容で有機栽培のベジタリアン食が好きならばなおよしといったところだろう。
(って、何だこのチートステータスな嫁…。)
と上記を満たしたLaureneという女性との出会いがある。

出会いはJobsがスタンフォード大学のビジネススクールの講座「View from the Top」に登壇した際に、
Laureneは少し遅れて行ったため、席がなく、通路に座ったところ注意され、しかたなく関係者席Jobsの隣の席に座ることになったそうだ。
そこで意気投合して、Jobsが食事に誘い、交際、結婚となるわけだが(この出会いは計算では?と言われた部分もあったが、Laureneは否定している。)


↑SteveとLaureneの結婚式、乙川(千野)弘文が式を司った。
(絶対菜食主義で作られたケーキは来賓にはいまいちだったとか…)

Jobsの性格上彼女を宇宙の中心というくらいに集中したかと思うと、まるで冷たくなって距離を置き、仕事に集中するということをやるものだから、なかなか大変だったみたいである…。

また、生活自体はJobsが禅の考えを持っているため、モノについては必要最小限しか持たず、
家具を買うにしても、家具とはなんぞやという話を8年もしたそうだし、洗濯機を選ぶのにも2週間かかったとか、Bill Gatesが訪れた際は本当にこの家に家族で住んでいるのか、と相当驚いたとか…。なかなか面白いエピソードが書かれている。

こだわり具合は、息子が生まれた際にも垣間見れ"baby boy Jobs"としばらく名前が付けられなかったりとプライベートな部分でもJobsのこだわりは変わらないのである。

自身の生まれに対するコンプレックス、複雑な家庭だったかもしれないけれども、そこには家があり、自身の家族があり、パワーの注ぎ方は急に全力になったり、あっち向いちゃったりしたのだろうけれど、まさに「Regular Guy」であった面が大いに見受けられ、「良き夫」であり「父」でありの「人間」Steve Jobsの姿がよく書かれていてこれも伝記だから成せる業なのかなとなかなか、興味深く読むことができた。


↑SteveとLaureneとLisa




ちなみにMona Simpsonが書いた「A Regular Guy」
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日本では翻訳されていないみたいなので、興味ある方は読んでみてもいいかもしれない。


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【後記】
今回ピックアップした部分はほんの一部で、その他に、Bill Gatesというライバルとのやりとりも取り上げられたら取り上げたいが、Microsoftは本当に嫌いだけれどもGatesに関しては良きライバルだったのだなと見受けられる面が非常に印象的である。

個人的な意見になるけれども、Microsoftの良心としての1つにExcelがあると思っているのだが、このExcel当初Mac向けに作られたなんて事実は知らなかったし、Windowsが無い時代にはExcel、Wordが独占的に販売されようとしていたなんてことは恥ずかしながら、知らなかった。

GatesとJobsのやり取りは一方はアーティスト、一方はビジネスマンとふたりとも考え方はまったく異なるが故、なかなか交錯することはなかったんじゃないかな。
やっぱり良きライバルがいたからこそ、切磋琢磨し業界を盛り上げていったのだなと感じる部分が多々あった。

まぁ、あれよこれよと述べたいことはあるのだが、こういった様々な「点」がiPod、iPhone、iPadという世界を揺るがすデバイスの登場につながっていく。その登場は下巻になるわけなので、そちらに譲ろうと思う。

というわけで、下巻に続く。



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